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蒼操パロ [novel]

操→いいところのお嬢様
蒼紫→操のボディーガード

でなぜかパロが…

すみません

携帯からなのでこのままスクロールしてご覧くださいませ













「ねぇ、蒼紫様。」
おずおずと少女が口を開いた。
彼女の名は巻町操。巻町財閥のご令嬢だ。
そして俺は――四乃森蒼紫、この世間知らずの嬢さんのボディーガードだ。
操はお嬢様と言うお淑やかなイメージとは似ても似つかないほど快活な娘で、そのためにボディーガードをやりたくないかやめた人間が無数にいたそうだ。
これはあくまでも俺が仕事に就く前に入手した情報によるものだが。
「あのさ、蒼紫様は、あたしを狙う輩(やから)からあたしを守ってくれるんだよね?」
何も言わない俺にたいして、操は相変わらずおずおずとした態度で俺に話しかける。
「そうだが。」
それがどうした、と俺はようやく口を開き、顔を上げて操に目線を合わせる。
返事がもらえたことが嬉しいのか、視線があったことが嬉しいのか、とたんに操の顔に笑みが浮かぶ。
彼女は、俺とは違って笑顔の似合う娘だ、その笑顔を見る度に俺は思う。
「だからね、あたしは一生蒼紫様に守ってもらいたい!蒼紫様以外の男の人なんて、誰にもそばにいてほしくない!」
身を乗り出すように、操はとんでもないことを口走った。
何事にも動じない自信のあった俺ですら、思わずその身が固まったほどだ。
「お嬢様、ご自身が何をおっしゃっているのかお分かりですか?」
内心の動揺を隠すように、俺は言った。
「分かっているわよ。いくらお父様でも、これだけは許せないもん。」
そう、操は本人の意志を無視して父親に婚約発表をされていた。
「あたしはお父様の道具じゃない。人形でもない。そして、金づるでもない。何よ、みんな揃いも揃ってお金のためにあたしに近づくなんて。」
ちなみにこれは全部俺が教えたことだ。
世間知らずで、財力のある彼女に近づこうとする不埒なものはとても多い。
だから、彼女の父親が選んだ男性以外と愛情関係を結ばないよう進言した。
だが、どこから操はその男も父親が自分の立場をいじするために選んだことを知ったのだろう。
「お嬢様、お気持ちはよく分かりました。しかし、それと私めが別だと言うことにはならないかと。」
不本意にも、俺に対する操の信頼は高いのだ。
理解できていなさそうな操のために、俺は言葉を噛み砕いて説明する。
「お嬢様の信頼を勝ち取り、常に側にいることが許されるボディーガード。これほどまでに巻町財閥に揺さぶりをかけられる人間が他にいますでしょうか?」
しかし、この説得は逆効果だったようだ。
相変わらずキョトンとした顔の操は、次の瞬間には笑出した。
今度は俺が不思議そうな顔をする番だった。
「お嬢様、何がおかしいのですか?」
「だって、蒼紫様、その仮定事態が成り立たないじゃないですか。」
そこで操は言葉を区切った。
「あたしは、蒼紫様だったらどんなことをされても構いません。」
だから、ずっとそばにいてくれませんか、そう彼女はおずおずと言葉を繋いだ。
さすがにここまで言われれば、全幅の信頼どころではない理由に思い至ると言うものだ。
彼女に悪い虫がつかないよう、もちろん、本業である身辺警護もやってきたが、どうやら最大の虫は俺自身だったようだ。
十(とお)も違うお嬢様相手に身分違いな恋なんて、と笑ってはいけない事態のようだ。
「俺は、首にされない限りお前のそばにいる。」
それが現実だ。
今の世の中、お金で買えないものなんて、もうない。
「蒼紫様、」
クスクス笑っていた操が口を開いた。
「なんだ?」
「今度からは、敬語はなしですからね。」
そう言われて、俺は自分の言動を振り替えって気付いた。
自分の仕える主に向かって、お前と言ったことに。
操はそのことを気にしていないばかりか、とても喜んでいるようだ。
これは、悪い兆候かもしれない。
俺は一人、この事態にため息をついた。
いっそのことご機嫌でニコニコしている操が憎らしいくらいに。

十五の少女相手に青年がその名を呼び捨てで呼べるようになるのはまだ少し先のこと――。
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