SSブログ

絵筆を握る手 24 [novel]

彼は見たかったのだ、私が描いた絵を。

どうしても、見たかったのだ。

それだから再び私に絵筆を握らせるきっかけを作りたかったのだ。

 「ありがとう。」

私はそう微笑んで言った。

そして彼と別れた後はしばしば葛藤が続いた。

ずばり絵を書くべきか否か。

せっかく戴いたものだ。使って、それで書いたものを見せてあげるのが礼儀だろう。

でも私は絵が書けない。右手が使えないのだから。

どうするか。幼稚並みの絵で笑われるかもしれないけれど書くべきか。

それともおとなしく何も書かずにいるか。

長い間考え続けた。それは数ヶ月にもわたっていた。

そして、久しぶりに―10年ぶりに―私が水彩画を目指したきっかけとなった絵を見た時、私は決めた。絵を描こう、と。


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:GBA2005ノベル

nice! 0

コメント 4

shooting_stars

こんにちは、私なりに結末を予想しながら、楽しみに読ませてもらっています。

些細なことですが、絵筆を握る手19の

>>しがないの技術者らしい。

しがない技術者らしい。ということでしょうか。

それと、詩の中では

『こぼれ落ちたもの』と『通り過ぎていくもの』

が好きです。

では。
by shooting_stars (2006-01-28 19:26) 

五月雨芽吹

こんばんは。訪問ありがとうございます。
実はこの後書くので完結の予定だったりします。
>しがない
修正しておきました。
すみません、ご指摘ありがとうございます。
>詩
こぼれ落ちたものと通り過ぎていくもの??
ふぇぇ。もしかして自分のじゃないものを言われていますか?(汗
自分のは左にある読んでいるブログ(RSS)の中にある『文字が綴るがままに』と言うブログにあります…。
by 五月雨芽吹 (2006-01-28 20:44) 

shooting_stars

ごめんなさい。どこかに迷い込んでいたいたみたいです。
そこは切ない詩が多かったです。

次はきっと迷わないと思います・笑。
では。
by shooting_stars (2006-01-28 21:26) 

五月雨芽吹

そうなんですか。
僕も他の人のを読んでみよう(笑)
ちなみに僕のは最近、英文タイトルが多いです。

ではでは。
by 五月雨芽吹 (2006-01-28 21:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。