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絵筆を握る手 最終話 [novel]

決心したら不思議と、ためらいは消えていた。

書いている途中に、書くことを後悔するかと思ったが意外とそういうわけではなかったようだ。

一日に書ける量はほんのわずか。

しかも、細かい絵は全く書けない。

それでも私は一筆一筆、時間をかけてゆっくりと心を込めて描いていった。

筆に私の思いを乗せて、絵の具を紙面に走らせる。

完成までどれくらいかかるのかはわからない。

それでも、私は自分の満足いける絵が書けると確信している。

そしていつか、私の絵を見て何らかの感銘を受ける人が現れるといいなと思っている。

人の心を揺さぶる絵は技術などよりも心が大事なのかもしれない。

いつだったか自分が気づいたことを再び思い起こして、私は筆を走らせる。

ゆっくり動く筆に、深い深い感情を込めて私は絵を描いていった。

そして、これを見た彼の反応を想像して、ふと一人微笑んだ。

私の未来はまだ、無限に広がる可能性があるのかもしれない。

紙面上に一回筆を乗せる都度、私は一歩夢へ向かって歩を進めていったのだった。

 

<完>


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